コーヒーの焙煎方式 ― ドラム式焙煎と熱風式焙煎の違い

コーヒーには一般的に2つの焙煎方式があります。伝統的なドラム式焙煎と、より近代的な熱風式焙煎です。

コーヒーを焙煎すると何が起こるのか?

コーヒーの焙煎プロセスは複雑で、生豆を焙煎するとさまざまな変化が現れます。焙煎開始後、生豆は黄色に変色し、やがてメイラード反応が起こることで茶色になります。つまり、還元糖とアミノ酸が結合することで香りと風味が生まれるのです(こうして風味のない硬い種が、朝のひとときに欠かせない存在へと生まれ変わります)。

焙煎が進むにつれて豆の中の水分が蒸発し、このエネルギーが外に向かって爆発すると豆から「パキッ」という音が聞こえてきます。このとき豆は通常の2倍の大きさになりますが、チャフと呼ばれる皮膜が剥がれ落ちるため、重量はこれまでの5分の1程度に減少します。そして、最初の亀裂音が鳴ってからどこまで焙煎するかによりさまざまな風味が引き出されていきます。どの程度コーヒーを焙煎するかは人によってさまざまで、最終的な仕上がりや全体的な味わいはその人の焙煎度合いによって変わってきます。

浅煎りコーヒーと深煎りコーヒーの違いは?

焙煎度合いはコーヒーを飲むときの味わいに影響します。最初の亀裂音以降の焙煎時間を短くすると明るく酸味の強いコーヒーになり、シトラス、フローラル、ハーブのような風味が引き出されます。

このタイミングを過ぎるとコーヒーに含まれる糖分が徐々にカラメル化し、甘みが増していきます。さらに焙煎を進めると、酸味と甘味を抑えてよりボディーのあるコーヒーへ仕上がります。もっと焙煎を進めていくと、やがて2回目の亀裂が入り非常にオイリーで香ばしい風味が感じられるようになります。

酸味、甘み、ボディの絶妙なバランスは私たちがすべてのコーヒーにおいて追求しているものであり、ブレンドに含まれるコーヒーのオリジンがそれぞれ異なるとなると、そのバランスはより複雑なものとなります。コーヒーの最大の魅力はフレーバーに正解がないことです。

私たちは甘くクリーンなフレーバーが何よりも素晴らしいと常に感じていますし、それこそがオールプレスが目指す風味です。しかし、あくまで好みは人それぞれなので、ぜひいろいろなコーヒーを飲んであなたのお気に入りを見つけてみてください!

コーヒーの焙煎方式の違いは?

コーヒーには、昔ながらのドラム式焙煎と熱風式焙煎の主に2つの焙煎方式があります。オールプレスでは熱風式焙煎でコーヒーをローストしているので、どちらの焙煎方式が優れているかについては少し偏った見方をしてしまうかもしれません。

ドラム式焙煎

(その名の通り)大きなドラムが火の上で回転し、豆が熱い鉄板に触れることでコーヒーが焙煎されますが、ドラムの周りをコーヒーがぐるぐる回るので、どうしても焙煎度合いにばらつきが出ます。また、飛び散ったチャフの逃げ場がないため、金属製のドラムにチャフが付着することで豆が焦げてしまいます。その結果、焙煎機を開けたときに煙が出たり、コーヒーに煙っぽい味が残ってしまうことがあるのです。ドラム式焙煎でローストされたコーヒーは一袋買うたび、そして一杯淹れるたびに微妙に風味が異なります。

だからこそ、ドラム式焙煎のおいしいコーヒーにはその風味を実現するために多くの手間や技術、正確さが必要だということを知っておいてください!

熱風式焙煎

熱風式焙煎はドラム式焙煎でデメリットと呼ばれる部分を解消した、より現代的な焙煎方式です。熱風式焙煎ではコーヒーが熱風の流れに乗って舞い上がります。この熱風が豆一つひとつをまんべんなく包み込みコーヒーの個性を引き出すことで、常に安定した品質のまま焙煎することができるのです。

熱風式焙煎の精度を保っているのは、ドラム式焙煎機以上に優秀な温度制御センサーです。このセンサーによりコーヒーの風味が変化するときの温度をリアルタイムで正確に測定することができるため、焙煎士はより高度なローストコントロールが可能となり、甘くクリーンなフレーバーを損なうことなくコーヒーの風味を最大限に引き出すことができます。これはドラム式焙煎機の温度制御センサーが高温の鉄板、つまりコーヒーが焙煎されるドラムの温度ではなく空気の温度を測定していることと比較すると、非常に革新的な機能です。 焙煎時の温度測定が不安定な場合、コーヒーが焦げてしまったり焙煎が不十分になってしまう可能性があります。

熱風式焙煎ではコーヒーが割れて膨張する際にチャフが焙煎機から排出されるので、コーヒーに煙のような匂いが付くことはありません。100kgのコーヒーを中煎りで焙煎する場合、オールプレスが使用している熱風式焙煎機では12~14分かかります。焙煎が完了しコーヒーがクーリングトレイに広げられると、次の焙煎では前回の焙煎時に使用した熱風を再利用するため、焙煎を始めるたびに機器全体を温めるための余分なエネルギーを消費する必要がなくなります。

コーヒーの焙煎方式による風味への影響

焙煎方式の違いは、みなさんが飲むコーヒーの味わいに大きな影響を与えます。

伝統的なドラム式焙煎は、伝導熱を利用することによりコーヒーから炭水化物や油分を引き出し、より濃厚な風味と後味をもたらします。どの産地のコーヒーであっても重く油のような風味が感じられるはずです。

熱風式焙煎の場合は対流熱伝達を利用することでコーヒーの香りを高め、甘くクリーンな安定した風味を生み出し、その日一日をゆっくり過ごしたくなるような心地よい余韻が感じられます。この風味はまさに私たちのこだわりであり、熱風式焙煎はそれを実現するための技術なのです。

ドラム式焙煎のコーヒーと熱風式焙煎コーヒー、どちらがおいしいのか?

私たちは甘くクリーンなフレーバーが何よりも素晴らしいと常に感じていますし、それこそがオールプレスが目指す風味です。オールプレスが採用している熱風式焙煎方法は、焙煎プロセス全体をコントロールすることができ、私たちが目指すフレーバープロファイルを確実に実現することができます。ドラム式焙煎は昔ながらの伝統的な焙煎方式ですが、私たちは熱風式焙煎によるコーヒーの仕上がりを高く評価しています。